Compact Disc
SHELLSHOCK - LORDS0721 (2021)
デッド・フレッド加入後スタジオアルバム2作目となり、バンドにおけるフレッドの影響力がさらに高まっています。ベテランのフレッドをフューチャーすることで音楽性の幅が広がり完成度も高まっています。前作リリース後脱退してしまったハーヴィ・ベインブリッジがいないためか、電子音やスペイシーなエッセンスがやや薄れています。しかしながら本家をベースとしながらオリジナリティが存分に発揮された力作と思います。1曲にかつてのメンバー、エイドリアン・ショウが参加。またこのアルバムリリース後、ベース担当だったトム・アシューストが脱退し、あのMr.ディブスが9月から参加しツアーに帯同しています。
Bonus Track
|
2011年の結成から10年。毎年1作のペースで着実に活動してきたのは、リーダーのジェリー・リチャーズの情熱とドラムのデイヴ・ピアースの長年にわたるチームワークだと思います。まるで本家のブロックとチャドウィックみたいですね。ホークスのイディオムをベースに今作は随所に25 YEARS ONのホウクローズの風味も散らしているところもリチャーズのそれぞれのバンドに対するリスペクトを感じます。ジャケは米TIME誌に音速の戦闘機のニュースが載ったイメージで、リチャーズによると、TIMEを通して扱われた様々な人をテーマにしているとのこと。
Speed of Sound オルガンのグリッサンドから弾ける元気なロケンロー。リチャーズ作。毎回言ってますが、毎作オープナーはかっこいい。リチャーズのリードボーカルは堂に入ってますし、メロディは彼らしいものでオリジナリティもあります。中間の反復進行でのサックスソロはゲストのクリス・オルドリッジ、その後のサイケ風オルガンソロで怪しいムードになりカルバート風の語り調ボーカル、徐々にヒートアップしてAメロに戻るという構成。しかし本家の同時期リリースのSOMNIAは耽美的で元気がない作品でしたが、こちらの方がホークスらしい出来ではないでしょうか
Lighthouse At The Edge Of The World シンセとピアノの美しい旋律の即興からキレのあるミドルテンポのリズムに乗って流れるようなムードの気持ち良い曲。オルドリッジはターナーのようにフルートを演奏。流れに乗って様々な呟きなどのボイスが現れては消えます。リチャーズ、フレッドの共作。
Obscura 毎回必ず1曲は入るSonic Attack風効果音的サウンドスケープ。ベインブリッジさんの十八番だと思っていたのですが彼が不在になってもやってくれました。不安感を煽る不協和音、電子音をバックにリチャーズの語り。リチャーズ作。
Take Off Your Mask ブルージーなハードロックですがアレンジが凝っていて8分の長尺曲。リードボーカルはフレッド。サックスが伴奏のAメロに続いての中間のインストパートではフレッドのバイオリンソロが炸裂しブリッジ挟んだ後も続きます。終盤はサックスソロ。この曲のベースはショウ。リチャーズ、フレッド共作。
Turn You On 明るいメロディアス・チューン。リチャーズのリードボーカルのボコーダー風処理が印象的。中間ギターソロ、終盤バイオリンソロもいい感じ。リチャーズ作。
Kites リチャーズ、フレッド共作のバラード調楽曲。ロマティックなストリングスコードの進行が諸行無常感を誘う、失われていくものを語っていくリチャーズ。鳥の鳴き声や子供の声、潮騒のような効果音、時計のような音が消えていく。
To The New Age フレッド作、ゴリゴリベースの重いハードロック。中間部はギターソロ。キーボードを担当していますが、ICUではベースも弾いていたマルチプレイヤーなので、こんな曲も書けるのですね。
Empire Of Sand 締め括りはスローでややマイナーなイントロからテンポアップしたメジャー進行になっていくたおやかなイメージのリチャーズ作。
ボーナストラックは前出のTurn You Onをフレッドがダンスミックスしたオルタネイト・トラック。小気味よいテクノ風リズムにアレンジされてます。
リチャーズはいつもより少し引いてフレッドを立たせている感じで、フレッドはやりたいことができるバンドとして楽しんでいるのではないでしょうか。ICU以来の活躍ぶりです。今後ディブスが加わることで、そのフォーメーションで作品を作ると、かなり面白いことになるのではないかと思います。
HAWKLORDS ディスコグラフィ
ホークウインド関連アーティスト
2021/10/31 update