ホークウィンド・デイズ・コラム
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2015年1月31日
今月20日、タンジェリン・ドリームのエドガー・フローゼ氏逝去のニュースに喪失感を感じた方は多かったかのではないでしょうか。
私もその一人です。心のどこかに穴が開いた感覚というか、日頃まぁどうあれタンジェリンがいるし的な安心感というか、そういう感覚が常に頭の片隅にあった訳で、その喪失感が意外に大きく感じます。
ジャーマンロックという範疇より、もっと広く今日のエレクトロニクスミュージックのパイオニアとしてその功績はあまりに偉大でした。いわゆる予定調和的な楽曲としてみた場合は評価されにくい側面がありますが、音響芸術、音のモザイクという観点でみると、時代含めて先進性と創造性の塊であったと思います。昔は機材があれば出来そうだな、なんて思ったこともありますが、それは出来上がったものを見て言ってるだけで、何も無いところから生み出すという立場に立つと、到底出来るものではないと自分が歳をとるごとに感じます。
初期の2枚、東芝音楽工業の赤盤。
タンジェリンの作品群はそのアルバムカバーも秀逸で、あの時代、宇宙や世界の神秘を感じさせるものでした。とりわけ国内盤(日本コロムビアからのブレイン期作品)には、なんともすごい邦題が付けられており、神秘的で深遠なムードを醸し出していました。
そしてフローゼ氏の作品はタンジェリンの一連の作品以外にソロワークスがありますが、そちらの作品群も好きです。グループの一員としているタンジェリンとは若干趣を異にして、より繊細というか瑞々しい感性に彩られており、その才能の本質をより感じさせるものだと思います。
晩年は来日していましたが、訃報はあまり大きく取り上げられていません。音楽の可能性を世界中に広めた偉大な芸術家として、その逝去に深く追悼の意を表します。
2015/01/31 update