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STEPPENWOLF

「ステッペンウルフ」

俺の目を見れば狼の目に気づくだろう
流れる金色の輝き
軽やかな歩み、うねる背中は
そこに何者かがいた証
気配に鼻腔が開く道
音に耳を立てる道
敏感な体毛が
はるか遠くの獲物を伝える

俺は人狼、狼男
半分が獣心 半分が人心
そのどちらでもない
そうさ、これも幻なんだろう
いつだってこうなんだ
徹底的に調べてみたさ
幻とは思えなかった
余りに豊かな想像力に
警鐘が響き止まぬ

狼のような、わざとらしいぶらつき
寝床のわびしい孤独
俺の笑い声を聞かれることはないだろう
暗鬱と落胆を半ば好み
月に向かって吼える、水銀の唇
空に溶け入る水銀は
死んだ俺の魂を吸い上げる
クロム坑のように響く

俺は狼男、人狼
奇形、悪魔、想像の産物
草原と人街の種
俺はこの荒地の隙間に
溶け込めるようなどちらでもない
森は霧に満たされ
絵に描いたような孤独
この自然の驚異を
生涯の記録に留めておいた
形振りかまわず我が道を行く

俺は狼男、夜街のガス灯の影を孤独に歩む
俺は人狼、街中では地味な男を装い二歩足で立つ
俺は狼男、雪降る重い空の下で
俺の両目は漆黒の凸面レンズ、琥珀細工
俺は人狼、肥えた資産家とその生霊は
自慢のギラギラに御執心
二つの昆虫標本、展示中
俺は狼男、狼を殺したい俺の中の人
俺は人狼、人を食らう俺の中の狼
俺は狼男、普通の人々の努力を笑う
俺は人狼、工場や事務机で働く奴等の観察者
日暮れ時の酒場で肘を突き
歌に頭を揺らす奴等の傍観者
あえて話すことなど何もない

朧雲に反射するネオンサインを見た
当てもなく通りかかっただけだった
サインを見れば「マジックシアターはこちら」
「どなた向けでも御座いませんが」
「イカレたやつだけこちらへどうぞ」
「最初の演目がはじまっております」
顔を上げてその案内を見た
光を輝くのは何処だろう
行き止まりには何もなく
明りもどこかに消えていた

そうさ、これも幻なんだろう
いつだってこうなんだ
徹底的に調べてみたさ
幻とは思えなかった
余りに豊かな想像力に
警鐘が響き止まぬ

作詞:Robert Calvert
翻訳:nekoteitoku

Hawkwind / ASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSIC
1976年、ロバート・カルバートが復帰。今回はフロントマンとしてリードボーカルを担当し、歌詞も担当した。2年強の間、ブロック&カルバート体制の黄金期を迎える。その第1弾アルバムASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSICの収録曲。ステッペンウルフは一般的にはヘルマン・ヘッセの「荒野のおおかみ」のタイトル。アウトサイダー的な生き様を描いた小説ですが、カルバートは狼男のモチーフに転換しています。曲のアレンジもシアトリカルな進行を見せます。

この曲が収録されたアルバムASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSICのレビュー
同アルバムの2009年のAtomhengeリマスターのレビュー

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2023/01/14 update


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