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Analog Disc

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HAWKWIND | LEVITAION

BRONZE - BRON 530 (1980)

Hawkiwnd / Levitation vinyl
初回は限定盤のブルーのカラー・ビニール。マトリクスはA-3U/B-1U。ディストリビューションはEMI。以降ポリドールに変わります。シングル・ジャケット、インナー無し。レーベルのリムにはEMI RECORDS LIMITEDの表記。
Hawkiwnd / Levitation vinyl
裏ジャケ左上にEMI Records Ltdの表記。レイトプレスだとここがPolydor Ltd表記に変わリます。
Hawkiwnd / Levitation vinyl

Side 1
  1. Levitation
  2. Motor Way City
  3. Psychosis
  4. World Of Tiers
Side 2
  1. Prelude
  2. Who's Gonna Win The War
  3. Space Chase
  4. The 5th Second Of Forever (from the film)
  5. Dust Of Time

7月に発売されたLIVE 1979が絶好調のセールスの中、期待されていた新生ホークスのスタジオ収録アルバムが早くも11月にリリース。
この年の前半はブロックのスタジオ・ワーク(のちにWEIRD TAPESとして発表)とこの新作の構想に費やされ、ギグはほとんど行われませんでした。7月のミニツアーの後、サイモン・キングがバンドを脱退します。プロとして活動することに懸念を感じていたそうです。そこでラントンの妻マリオンが元クリームのジンジャー・ベイカーのマネージメントで働いていたことから、彼女がベイカーに声をかけたところセッションし参加が決定。アルバムは7〜8月に録音が行われました。
参加メンバーはデイヴ・ブロック(G/Vo/Key)、ハーヴィー・ベインブリッジ(B/Vo)、ティム・ブレイク(Key)、ヒュー・ロイド・ラントン(G)、ジンジャー・ベイカー(Dr)。ホークス初のデジタル・マスタリングが施され音質はクリアですがデジタル初期にあったやや軽く薄い音質。ヘッドフォン・アルバムという表記が出ています。先のツアーで披露された新曲Levitaion、Motor Way Cityを含み、ベイカーの手数の多い特徴的なドラミング、ラントン、ブレイクの2人のソロ・プレイヤーのスリリングなプレイが聴ける好盤となりました。オープニングのLevitationの間奏部見られるように、反復フレーズによる高揚感が復活。ブレイクのシンセもかつての電子音乱舞の再来。またLIVE 1979同様、リード・ボーカルはブロックのみというシンプルなスタイル。静と動のバランス、全体の流れが計算された完成度の高いアルバムとなりました。
Levitation イントロのエレキのミュート奏法から明らかに当時のメタルのトレンドを取り入れていることが伺えます。作者ブロックの元気の良い歌声とフレーズが印象的なAメロ、間奏は初期ホークスを思い出せる反復リフ、その上でのラントンのソロとブレイクのソロがカッコ良く、Aメロに戻る瞬間の高揚感はホークスの完全復活を高らかに告げます。
Motor Way City ブロック作。シンセシークエンスに続いて、ニューウエーブ調のエレキバッキング。ベイカーのドラミングが冴えます。メロディアスなミドルテンポナンバーですが、間奏のバッキングの反復リフが1曲目同様ホークスらしく、過去と現在のテイストを巧みにブレンドしており、この曲も定番曲となります。
Psychosis 交信音とノイズ、電子音によるトラック。次曲への繋ぎ。
World Of Tiers ベインブリッジ、ラントン共作のインスト。ラントンのトリッキーなギターワークが目立つハードナンバーですが、スローで美しいインターバルを挟むなどプログレっぽい構成。
Prelude B面のオープニングはブレイクによる美しいシンフォニックチューン。タイトルの通り次曲の序曲。
Who's Gonna Win The War ブロック作、SONIC ASSASSINS期からプレイされていた定番曲。諸行無常感のあるAメロ、伸びやかなラントンのギターとそれを支えるブレイクのストリングスが美しい。この曲はシングルカットされます。
Space Chase ラントン作のテクニカルインスト曲。ギターの変則的フレーズとシンセのユニゾンによるテーマ、シンセとギターソロの応酬がカッコ良いですね。
The Fifth Second Of Forever ラントン、ブロック共作。哀愁感のあるアコギによるインスト、ブロックのハイトーンのボーカルによる歌唱パートと静と動の対比が印象的。
Dust Of Time そのままブルージーなニュアンスを引き継ぐ、ラストナンバー。ブロック、ベインブリッジ、ラントン作。間奏部分ではマイナーからメジャーに転調し、希望溢れる未来を想起させます。そしてAメロに戻り終了。
ラントンのテクニカルなギタープレイ、ブレイクのセンス良いシンセ、美しいストリングス、電子音、メロディに沿わせるベイカーの巧みなドラミングによって、ホークスの新生面がプラス方向に発揮された作品となりました。音楽性は変化しつつボルテージの高さからか、発表時ブロックは相当の自信を持っていると語っていたようです。リリースに先駆けて全英ツアーは10月より開始、アルバム発売をはさみ12月まで続けられました。
このツアーのプログラムはこちら。
そしてチャートは21位と健闘。しかし人事にまたしても波瀾が。まずブレイクがツアー中、当時の彼女が流産したことで急遽離脱し、そのままバンドを離脱。ブレイクの後釜が決まるまでの代役はバンドの旧友ツインクがキーボード担当となりました。ツインクは5回ほどギグに参加し、ベイカーの知人キース・ヘイルが正規メンバーとして加入します。こうして3ヶ月に渡る長いロードを終えました。
翌年、2月ドイツのTV局にてビデオ撮影、この時の映像がLevitationのプロモビデオです。その際、ベイカーが旧友ジャック・ブルースと再会したのをきっかけに、ベインブリッジをクビにして、ブルースを入れたいと物議を。ブロックは、のちに「ベインブリッジをそんな理由で辞めさせることはできなかった」と語っています。激昂したベイカー、ヘイルを連れバンドを辞め、ホークスの名でイタリア・ツアーをしてしまいます。「これは成功しなかった」とブロックは言ってました。ベイカーはあまりに有名なため、当時メディアは彼を中心に取り上げていたこともありました。しかし、中には反発するような記事も。
ヘイル在籍中のライブ・テイクが収録されていた事実が後年ZONESなどに収録されたことで判明しました。それらは後年アトムヘンジのリマスターで、80年12月のライブテイクが収められた拡大版としてリリースされます。


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2019/10/20 update


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