Compact Disc
ATOMHENGE - ATOMCD21040 (2015)
DISC ONE
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DSIC TWO
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生粋のライブバンドであるホークウインドのライブアルバムは総じて良作が多いですが、その中でも上位に位置する名演。ラントン、ターナーという2名のリード奏者をフィーチャー。キーボード奏者が不在ながらブロックが電子音やシンセを駆使してセンスのいいバッキングサウンドを構築。さらにムアコックの参加もあり、贅沢なメンバー構成による多彩なアレンジとアグレッシヴさが同居している時期です。ニック・ターナーとまだまだ仲の良い時期というのも感慨深いです。
82年10月、RCA ACTIVEからの3枚目のアルバムCHOOSE YOUR MASQUESがリリースされます。それにともなった大規模UKツアーが同月から翌11月にかけて約30カ所で実施。ブロック、ラントン、ベインブリッジ、グリフィンに、5月から復帰していたニック・ターナーを含む5人編成。ハイライトは11/12、13のロンドン、ハマースミス・オデオン。うち12日はマイケル・ムアコックがゲスト参加。この2晩の演奏は24トラックマルチレコーディングされました。
初リリースは99年にVOICEPRINTからのCOLLECTOR SERIES VOL 2 : LIVE 1982 CHOOSE YOUR MASQUES(以降LIVE 1982と略します)。ニック・ターナーとのHAWKWIND名使用問題が決着していなかったため、契約の関係でニックがリードボーカルの曲は収録されませんでした。また実際の演目順と異なる曲順に編集されていました。
本作はATOMHENGEから改めてのリリースとなり、11/12のテイクに統一し実際の演目順とし、LIVE 1982でカットしていたGhost Dance、Steppenwolfを収録し、実際の様子に忠実になっています。ただしSteppenwolfだけは13日のテイクとの記述あり。またこの日のアンコール部分は未収録となっています。なおLIVE 1982にはアンコール部分が収録されています。
82年11月12日のセットリストは、以下の通り。本作には下記1〜14まで収録(7だけ翌13日のテイク)。アンコールは全て未収録。
アンコール
ライブのオープニング、ムアコックのMCによるWarrior On The Edge Of Time。電子音、シーケンス音、パッド音が期待感を盛り上げるオープナーに相応しい曲。続くシーケンスパターンはCHOOSE YOUR MASQUESのThe Scan。
そしてアルバムタイトルナンバーChoose Your Masques。イントロにスタジオアルバム同様ボイスのSEが乗っています。ムアコック作詞、ブロック作曲のアルバムを象徴するタイトで疾走感あふれる曲。ブロックのリードボーカル、ベインブリッジが語りを加えます。LIVE 1982収録のテイクよりかなり長い演奏となっています。
ムアコックのMCから始まるCoded Languages、弾け飛ぶような演奏パート、そこでのラントンのギターが印象的。メロディのある歌唱部分はベインブリッジ、Your images are loaded, your images are codedと繰り返す部分はムアコック。演奏が盛り上がってきたところでターナーのサックスも加わりテンションが一気に上がる、手に汗握る演奏。この時期ならでは。LIVE 1982の同曲はムアコック不在の13日のテイクでした。
ノイズやシーケンスの流れる不穏なバックにブロックのマシンガンギターが入ってくるMagnu。ギター、サックスのソロと2人のソロプレイヤーにより演奏の幅が広いところもよいですね。
そして流れるようなイントロのDust Of Time。スタジオテイクよりも若干テンポアップ。この2曲はメドレーで演奏されますがLIVE 1982のテイクとは別物で、やはり全体に尺が長いです。
ラントン作曲のWaiting For Tomorrow、バックのシンセはブロックによるものと思われます。中間部はターナーのサックスソロ。こういう曲にはターナーのサックスがフィットします。これもLIVE 1982とは別テイク。
そして定番曲Angels Of Death。やはりLIVE 1982とは別テイク。
そしてLIVE 1982では割愛されたターナー曲Ghost Dance。原始的な脈動のリズムをバックにターナーのボイスアドリブ。ブロック、ベインブリッジも呪術的なボイスで盛り上げます。この頃はみんな仲良かったなぁと思わせる演奏。
カルバート曲Steppenwolfはターナーがリードボーカルというレアなバージョン。またこの曲でラントンのギターが聞けるのも珍しい。こういう曲でのラントンは自然で良いですね。
Psychedelic Warlordsは、この頃はラントンアレンジとなっていて、ボーカルもラントン。このトラックはLIVE 1982と同じテイク。
次はSocial Alliance。LIVE 1982でカットされていた曲の頭からきちんと収録されています。テイクそのものはLIVE 1982と同テイク。中間部の演奏は強烈。
そしてUtopiaはニックのMCですが、LIVE 1982とは別テイク。あちらにあったフルートのサンプリング音は鳴っていません。MCが盛り上がったところでArrival In Utopiaへなだれ込みます。これもLIVE 1982とは別テイクです。
Solitary Mind Gamesはターナーのフルートがフューチャーされていますが、こちらもLIVE 1982とは異なるテイク。
そしてLIVE 1982ではカットされたSonic Attack。ターナーのMCにムアコックも参加したテイクでこれも収録が嬉しい。
Dream Workerはアルバムテイク同様の冒頭のSE部分から流されています。LIVE 1982とは異なるテイク。
BrainstormはLIVE 1982と同じテイクですが、最後もう一度Aメロを繰り返す部分が入っています。ここはLIVE 1982ではカットされていたことが判明、CDの収録時間は盛大に余っているので、なんでそんな編集したのか。
この後本来はアンコールになるのですが、そちらは収録されていません(LIVE 1982には収録)。本作はLIVE 1982に対してダブりテイクは4トラックのみ、双方ファン必携ではないでしょうか。
・1999年にリリースされたCOLLECTOR SERIES VOL 2 : LIVE 1982 CHOOSE YOUR MASQUESのレビュー
・EXILESさんのCOLLECTOR SERIES VOL 2 : LIVE 1982 CHOOSE YOUR MASQUESのレビュー
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2018/05/30 update