Analog Disc
RCA ACTIVE - RCALP 9004 (1982)
Side 1 SPACE
|
Side 2 FATE
|
FLICKNIFE から過去の音源を続々とリリースする中、正規新作が発表されました。前作SONIC ATTACKよりわずか7ヶ月でリリース。これは、ほとんどのトラックが前作制作時に完成していたことやブロックのソロ・ワークスの録りだめがあったからです。前年11月のツアー終了後、オフに入りデイヴはスタジオ・ワーク、82年の1〜2月にこのアルバムを完成させます。そして3月からはヨーロッパ・ツアーがありました。WEIRD TAPESも続々と発表され、ブロックのソロ活動がさかんになってきたことが反映され、このアルバムではバンド演奏+ブロック・ソロという内容になっています。どちらかというとブロック・ソロに比重が多くおかれており、のちにステージで演奏される曲は少なかったです。背景としてドラムのマーティン・グリフィンが風疹にかかり、その間ブロックとベインブリッジでシンセ中心の作業を行っていたそうで、全体にエレクトロニクス色の強い作風となっています。ブックレットまで添付し気合の入ったリリースで全英26位という結果でした。
Side1はSPACE、Side2はFATEというタイトルがつけられています。
Angel Voice 次曲の導入パートとなっており、スペースシップのコンピューターと管制塔のコンピューターがやりとりする様を描いています。ワクワクするオープナーでNuclear Driveにつながります。亜空間飛行を思わせる疾走感のある曲調でホークらしいキャッチーなスペースロック。ボーカルはブロック。こういう曲でのブロックのギターソロは効果的ですね。
Star Cannibal シンセベースが特徴のあるミディアムテンポのナンバー。食人族のスターカンニバルを歌った物騒なテーマですが、メロディアスな曲調でブロックのボーカルは流暢。電子音もいい感じ。
The Phenomenon Of Luminosity 米の宇宙飛行士ジョン・グレンと管制塔との交信のテープを使ったトラック。電子音によるSEがムードを盛り上げます。この曲あたりから本作の特徴であるエレクトロロックのニュアンスが強く出てきます。
Fall Of Earth City ブロックのボイスによるSF的なストーリーの語り。反復するリズムにラントンのアドリブギター、緊迫感のあるシンセが情景を描きます。
The Church シンセのアルペジオにホークウインドを連呼する群衆、厳粛なイメージ、アルバムのデモを聴いたマイケル・ムアコックが教会のようだと感想を述べたので、このタイトルになったとのこと。
The Joker At The Gate シンセのシークエンスをメインにしたナンバー。
Some People Never Die ケネディ暗殺の際のラジオ放送などのテープを使ったナンバー。やはりシンセシークエンスが流れ、この時の緊迫した様子を伝えています。
Light Specific Data 船を漕ぐようなSEから始まるシンセを主体にした曲。反復ビートに電子音、アドリブギターが飛び交いますが、この感じはホークスならでは。唐突なバースト音で終わります。
Experiment With Destiny 感傷的なメロディを紡ぐシンセサウンド、コーラスが流れます。リズムが入ってきてフェードアウト。
The Last Messiah 悲しげな曲調、女性のすすり泣く声はホークスのダンサーであるクリス・テイト。
Looking In The Future ラストナンバー、それまでの憂鬱なニュアンスを吹き飛ばす元気ナンバー。ブロックのボーカル。
この後6月に恒例のストーンヘンジに出演するも、早くも次作CHOOSE YOUR MASQUESの制作に入り、そのリリースまで大きなツアーは行われませんでした。後の初回CD版では、90年代の新録3トラックが追加されました(そのうち2曲はそこだけの収録)、その後2010年にはATOMHENGEのリマスターCDがリリースされ、そちらはアルバム制作時のデモテイクがボーナ追加されました。
・EXILESさんのDOJOからリリースされたCDのレビュー。
・2010年のATOMHENGEリマスターCDのレビュー。
・2010年のATOMHENGEリマスター国内盤CDのレビュー。
オリジナルUK盤&日本盤ディスコグラフィAnalog Disc 1982-1983 に戻る
2022/12/23 update