Compact Disc
HAWKWIND RECORDS - HAWKVP35CDSE (2005)
CD
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DIGITAL VERSATILE DISC Interviews With Sam Boyero:
Music Tracks:
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2005年4月、ついに新作リリース日の告知がされました。8月30日に先行シングルSpirit Of The Age、9月12日にアルバムという内容でした。今回こそは本物だろうと期待が高まる中、5月から6月にかけてツアーが実施されました。5月4日のノルウエイのバーゲン・フェスティバルを皮切りに本国6カ所をまわり、フィンランドで2回のギグ、UKに戻り1回、ドイツのフェス出演、ベルギーで1回と欧州を駆けまわりました。メンバーはブロック、デイヴィ、チャドウィックのコアメンバー3名に昨年の秋から参加しているキーボードのジェイソン・スチュワート、またステージよってはダンピィやMr.ディブスがゲスト参加しました。
シングル・リリース日が近づくにつれて、オフィシャル・サイトではカウントダウンがされたり、ゲストでリードボーカルとして参加するマシュー・ライトのサイトでも告知するなどの盛り上がりを見せていました。シングルは予定通りリリースされ、Radio EditとLive Versionという2タイトルのリリースとなりました。リリースに合わせて9月1日にソーホーのクラブ、ボーダーラインにてローンチ・パーティも開催され関係者とファン150名を招待し、いつになく力の入ったプロモーションを行いました。アルバムは初回2000枚限定でDVDが付属されました。そして3日にはドニントンにてオフ・ザ・トラックス・フェスに出演。
アルバムは予定通り9月12日にリリース。ブックレットのクレジットによると参加メンバーは、デイヴ・ブロック、アラン・デイヴィ、リチャード・チャドウィック。ゲストはサイモン・ハウス、アーサー・ブラウン、ジェイソン・スチュワート、ジェズ・ハゲット、リーナ・ラヴィッチ、マシュー・ライト、ジェームス・クレマスとなっています。プロデュースはブロックとデイヴィ、2004年に逝去したジョン・ピールと2005年に逝去したトミー・バンスという2人の伝説的DJに捧げられています。ホークウィンドはかつてこの2人のラジオショーで取り上げられていたことがありました。
アルバムの収録時期についての記載はありませんが、2002年頃からレコーディングの話が出ていたので、2002年〜2005年にかけて時間をかけながら収録、ミックスダウンを行ってきたものと推測します。
1998年のIN YOUR AREA以来、7年近い期間をあけてのスタジオ新作となりました。その間沈黙していたわけでなく、レコード会社を安住の地VOICEPRINTに移籍し、HAWKWIND RECORDSレーベルを立ち上げ、WEIRD TAPESをはじめとする過去音源のリリース、未発表ライブテイクのリリースなどを行いながら、毎年ツア−、ギグ、各種フェスの参加など着実に行うなか、契約に縛られずにあくまで自分たちのペースで作り上げたアルバムとなりました。DVDのインタビューの中でデイヴが、今回の制作期間を揶揄して「wind time」と語っています。基本は従来のスペース・ロックの定石を踏襲しながら、随所に同時代的なアプローチがなされており、結果的に21世紀型ホークウィンドの姿を呈示したような作品となりました。各々ソロ活動も行ってきたデイヴィとチャドウィックの作曲面への関与率が高まり、ブロック・オリエンテッドなバンドではなく3人の意見が均等に反映しているという意味で音楽性の幅は従来より広がっています。すべてがスタジオ録音であり、全体の構成も練られ、90年代のアルバムにありがちだったつぎはぎ的要素はなく、1枚のアルバムとしての完成度は高いと思います。すべてにおいてコントロールされている感があるため、若かりし頃の野放図な勢いは微塵もないのですが、現在最前線のスペース・ロックを、その本家が全力で作り上げたという事実がここにあります。
Spirit Of The Age
2003年の収録かと思われます。UKのTVで司会をしているマシュー・ライトがリード・ボーカルで参加。マシューが以前からホークスの熱狂的ファンであることを知ったブロックが声をかけ、実現したコラボレーションです。先行のRadio Editと比較してイントロは長め、後半も長く6分強のトラック。アルバムのオープニングにふさわしく原曲の爽やかなイメージそのまま。中間部のデイヴのギターソロをはさみ2コーラス目はデイヴがリードボーカル。後半のコーラスでもデイヴのギターソロが登場します。エフェクトのかかったギターのバッキングとパッド系コード進行の上を電子音が飛び交います。
Out Here We Are
デイヴィ作のスローインスト。コーラス・トーンのきれいなイントロの後、ゆったりとしたベースラインにのせて突如ハゲットのジャージーなサックスが入ってきます。ミュートをかけたペットも絡みながら、かつてない大人なムードのホークウィンド。リズムもドラムマシンと生ドラムを組み合わせる近年のチャドウィックのスタイル。ここ数年の進化が垣間みれる曲です。
Greenback Massacre
一転してハードなリフのいつものホークス。リードボーカルのデイヴィ作。リピートするフレーズの上を電子音がこれまでかとばかり駆け巡り、ホークス真骨頂の健在ぶりを感じさせます。キーボードはジェイソン。
To Love A Machine
前曲のエンディングの電子音に引き続き、ジャングルリズムにのせてデイヴのギター、続いてデイヴのリードボーカル。静かなブリッジのバックにはアコギが登場。基本はデイヴの諸行無常感がよく出た曲であるとともに抑揚の効いたアレンジが、新世代ホークスを感じさせます。後半、ジェイソンのピアノがジャージーさを演出。
Take Me To Your Leader
3人の共作。ドラムマシンとシークエンスシンセ、デイヴの語り、コーラスと呪術的な印象をもつ曲。
Digital Nation
チャドウィック作、リードボーカルもとっています。ハゲットのフルートがアクセントとなってブルージーな進行をします。中間部パッドシンセをバックにハゲットはサックスもプレイ。お決まりの電子音とシークエンスシンセは鳴りまくっています。
Sunray
Right To Decide を思わせるデイヴ作のドライブ感のあるポップなチューン。リードボーカルはアーサー・ブラウン。持続音のあかるいリードフレーズはハウスのエフェクトかけまくったバイオリン。オルガンソロはジェームス・クレマス。
Sighs
1分少々のつなぎ的曲。効果音とボイス、シンセによる不安感のある曲調。
Angela Android
ブロック、チャドウィックの共作。イコライジングされたリードボーカルはチャドウィック。
たてのりリズムとボーカルラインに絡むデイヴのギターというホークスらしい曲調ですが、ハゲットのサックスがやはりジャージーなテイストを加味。ブリッジから、リーナ・ラヴィッチが特有のハイトーン・ボーカルで登場。キーボードはハウス。
A Letter To Robert
アーサーの語りを全面フィーチャー。当時のカルバートの語り口を真似たり、言葉に節をつけたりとアーサーらしいシアトリカルなトラック。バックでデイヴとチャドウィックが電子音飛ばしています。かつて一度カルバートと会ったことがあるブラウンが、そのときの会話の内容を回想し作られたようです。
interview with sam boyero
UKのFM局LBCの女性プロデューサー 、サム・ボイロによるコアメンバー3人それぞれへのインタビュー。収録はデイヴの自宅農場のスタジオにて。新作の内容や曲作りについてヒアリングをしています。デイヴィとチャドウィックのインタビューは初めて見るもので、非常に興味深いです。最近のプロダクションはWindowsPCを使ったHDレコーディングで、オペレーションの様子やステージカットなどもインタビューの合間にはさまれています。
music tracks
Spirit Of The Ageのプロモビデオ、2004年レミーが参加したSilver Machine、90年代のRight To Decide、最近(2004年)のステージから、Spirit Of The Age(ボーカルはデイヴ)、Psychedelic Warlords。Right To Decideは編集されたもの(映像は荒れていますが、あの曲だけにかなりカッコイイです)ですが、それ以外は1カメラのオーディエンス撮影であまり画質は良くないです。レミー参加のSilver Machine は比較的良い状態です。また近年のステージショットも観ることができるのは、日本のファンにとっては嬉しいですね。
シングルカットされたSpirit Of The Ageのプロモーションビデオ。近年に作られたものだけに当然ですが大変クリアな映像。ただし、画像エフェクトが例によって多く、余計なことをしないで欲しいのですが。ブロックの指使いをかつてないほどクリアに見ることができます。デイヴィとチャドウィックはコーラスの時にアップに映る程度。
Silver Machineは2004年7月フィンランドのルイス・ロックフェスに出演した際、ラストナンバーにレミーが登場しプレイされたもの。同フェスにMOTORHEADが参加していたため実現。ホークスの3人(ブロック、デイヴィ、チャドウィック)にレミー、さらにMONSTER MAGNETのフィル・カイバノもリードギターで飛び入り参加し、のりのりで演奏されています。オーディエンス撮影で、時折ピンがはずれたりしていますが、貴重な映像なので収録に拍手。
ステージ下手から、デイヴィ、レミー、カイバノ、ブロック
・先行シングルSPIRIT OF THE AGE RADIO EDITのレビュー
・先行シングルSPIRIT OF THE AGE LIVE VERSIONのレビュー
・同アルバムのEXPORT EDITIONのレビュー
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2019/06/16 update