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Compact Disc

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HAWKWIND | THE 1999 PARTY - LIVE AT THE CHICAGO AUDITORIUM

EMI - 7243 8 33333 2 5 (1997)

1997年にEMIより突然リリースされた74年3月のシカゴ公演の公式アルバム。当時リリースを想定して収録したのか、レコーディングエンジニアにはロイ・トーマス・ベイカーがあたっています。「永劫の宮殿」のレコーディング直前の時期で、ホークウインドのUA期のライブとして「宇宙の祭典」と並ぶ当時のライブが堪能できる作品。加入したばかりのサイモン・ハウスとデル・デットマーが共演している時期は短いので、その点も貴重。

HAWKWIND / THE 1999 PARTY box
初回は紙ボックスにジュエル・ケース。ポスター付属。以降はジュエルケースのみ。
紙ボックス裏。
HAWKWIND / THE 1999 PARTY box
ジュエルケース。
HAWKWIND / THE 1999 PARTY
ジュエルケース裏。
HAWKWIND / THE 1999 PARTY
HAWKWIND / THE 1999 PARTY
付属ポスター表裏。
HAWKWIND / THE 1999 PARTY poster
HAWKWIND / THE 1999 PARTY poster

CD 1
  1. Intro/Standing On The Edge
  2. Brainbox Pollution
  3. It's So Easy
  4. You Know You're Only Dreaming
  5. Veterans Of a Thousand Psychic Wars
  6. Brainstorm
  7. Seven By Seven
CD 2
  1. The Watcher
  2. The Awakening
  3. Paradox
  4. You'd Better Believe It
  5. The Pschedelic Warlords (Disappeare In Smoke)
  6. D-Rider
  7. Sonic Attack
  8. Master Of The Universe
  9. Welcome To The Future

UNITED ARTISTS時代のホークス作品の販売権利は英EMIが所有していましたが、80年代にはCD化されず。米のOME WAYというレーベルが唯一CD化していました(1stからHALL OF THE MOUNTAIN GRILLまで)。EMIは92年に一度STASISというベスト盤をLPとCDでリリース、編纂内容は結構マニアックなものでした。
その後96年ついにUA作品をデジパック仕様でリリース。STASIS同様やる時はやりますよ!的な気合で、ブックレット等再現、当時の貴重な資料もジャケに掲載という凝ったものでした。
そのEMIですが、97年この驚きのアルバムをリリース。SPACE RITUAL収録の翌々年の74年3月、シカゴのステージを収めた2枚組CD。初回盤は紙箱入りでバーニー・バブルスのポスター付き。ブックレットには当時のスナップ写真が掲載。レコーディング・エンジニアは、あのロイ・トーマス・ベイカー。最終ミックスは97年にデイヴ・ブロックと当時ホークスの専任エンジニアだったポール・コボルドが行ったもので、ブロックが関わった正規盤。
これが収録されたのは、ホークス2度目のUSツアーで、サイモン・ハウス(Key/Vl)が参加して最初のツアーでした。HALL OF THE MOUNTAIN GRILLスタジオ曲収録以前になります(同アルバムのライブ曲は74年1月の収録、そちらもトーマス・ベイカーが関わっていました)。メンバーはデイヴ・ブロック(G/Vo)、ニック・ターナー(Sax/Fl/Vo)、デットマー(Syn)、サイモン・キング(Dr)、レミー(B)、サイモン・ハウス(Key/Vl)の6人。
フル・ステージをほぼそのまま収録されたと思われます。のちにWARRIORに収録されることになるムアコックのStanding On The Edgeがステージ・ナンバーに取り上げられていたことや、シングルUrban GuerrillaのB面曲Brainbox PollutionやThe Watcherのステージならではのロングタイム・プレイなど、興味深い発見があります。加入直後のハウスはメロトロン、バイオリンをホークスに導入、新風を吹き込んでいます。そしてレミー、ここでもグイグイ引っ張るベース・プレイが全体を引き締め、重量感をもたらしており、ホークス70年代絶頂期の片鱗を垣間見ることができます。このステージより半年後にリリースされたHALL OF THE MOUNTAIN GRILLの大半の曲はこの時点で出来上がっていたことも判明。

Intro/Standing On The Edge 電子音の飛び交う中の開幕MCはレミーと思われます。続いてターナーによるムアコック詩の朗読。のちにアルバムWARRIOR ON THE EDGE OF TIMEに拡大する詩です。
Brainbox Pollution オープニング曲はシングルUrban GuerrillaのB面収録だったこの曲。のちにシングルは短く編集されたもので、実際は7分に渡る演奏だったことが判明します(PARALLEL UNIVERSE/2011)が、ここではその元通りの長さで演奏されています。ブロックとレミーのツインボーカルによるロックンロール。ブロック作。レミーのベースがグルーブ感を出す中、後半ギターソロが続き盛り上がっていきます。
It's So Easy このライブの時点では未発表のブロック作の新曲。のちにシングルPstchedelic WarlordsのB面としてリリースされます。そちらは1月のハウスのオーディション時のライブテイク。この曲もブロックとレミーのボーカルで10分近い熱演。
You Know You're Only Dreaming IN SEARCH OF SPACEのブロック作の名曲。メロトロンがシンフォニカルなニュアンスを醸し、ワウギターが心地よく響きます。
Veterans Of a Thousand Psychic Wars ムアコックの詩、ターナーの朗読。電子音とギターのかき鳴らすサウンド。
Brainstorm 中間部、音が薄くなりリズムとギターだけで突っ走ります。SPACE RITUALの頃から若干変化しています。DOREMI収録のターナー作、本人のリードボーカル。
Seven By Seven ブロック作、シングルSilver MachineのB面が初出、SPACE RITUALでも演奏されています。ここでは中間部の朗読はありません。終盤のアレンジが変わっており、ボレロ風リズムになります。
The Watcher CD 2に移って最初の曲はレミー作、自身が歌います。DOREMI FASOL LATIDO収録トラックよりも長く演奏されています。
The Awakwning カルバート作詞、ターナー朗読。SPACE RITUALでも演奏されていました。
Paradox この頃の定番曲、1月のライブ収録テイクが次作HALL OF MOUNTAIN GRILLに収録されることになりますので、この曲もこの時点ではアルバム未収の新曲。ブロック作。
You'd Better Believe It 前曲同様この時点ではステージで演奏されていたもののアルバムには未収、秋にリリースされるHALL OF THE MOUNTAIN GRILLに1月のライブテイクが収録されます。ここでもブロックとレミーのハモリが特徴的。ハウスのバイオリンソロがフィーチャーされます。ブロック作。
The Psychedelic Warlords ブロック作、同じく次作HALL OF THE MOUNTAIN GRILLのオープナーとして収録されるあの曲。ブロック作。アルバムトラック同様、バックを流れるハウスのメロトロンが良いですね。終盤はスタジオテイクではほとんどなかったブロックのギターソロ。3分程度でアルバムよりは短い演奏。
D-Rider こちらもHALL OF THE MOUNTAIN GRILLに収録されるターナー曲。スタジオテイクと同じアレンジでメロトロンの混成コーラスも使われています。
Sonic Attack ムアコック作詞の朗読曲。ターナーが朗読。レミーが合いの手。カルバートが抜けているので、その役回りはターナーが担っていたということが分かります。
Master Of The Universe クライマックスはターナー作、自身がボーカルのこの曲。中間部はシンセの低音スゥイープ音が唸り、シンセのアドリブが演奏されるなどハウス加入後の変化がアレンジに影響。

ハウス加入後のライブアルバムは存在していなかったので、リリース時は拍手喝采でした。HALL OF THE MOUNTAIN GRILL収録曲を中心に演奏している点がこのアルバムの特徴であり、R.T.ベイカーの手によって70年代黄金期の一端を残したという貴重な遺産です。


関連情報

・同年リリースされたアルバムHALL OF THE MOUNTAIN GRILL(1974)のレビュー

・EXILESさんのレビュー


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2019/11/01 update


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