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デイヴ・ブロック使用機材について語る
「何事も本質は、良いメロディーラインなんだ。良いメロディー・ラインがあれば、いつでもそこに戻ってくることができる」

デイヴ・ブロックの機材に関しては、ギタリストとして注目されていない、本人も派手なギターを使用していないことなどから、話題になることはあまりないです。また高額なギターにこだわることもなく安いギターを長く愛用したりと、とても独特な感じ。以前本国のファンが運営していたWebサイトStarfarerの記事では関係者から詳しい情報を得てかなりの実態が明らかになりました。また2018年INTO THE WOODSリリース時のインタビュー記事(musicrader)では珍しく機材について多くを語っていました。先日満80歳を迎えた船長のお祝いも兼ねて、それらの記事などから得られた情報を整理し紹介します。
最近はギブソンをメインに使っていますが、80年代から日本のマツモク工業のウエストンを長く愛用していました。またアンプは日本のローランドのJC-120を愛用、ちょっと嬉しいですね。
記事制作にあたりEXILESさんのご協力をいただきました。この場を借りて感謝いたします。

Dave Brock
Westone Spectrum LX
「宇宙の祭典」イメージのカスタムペイント。

Dave Brock w/Gibson Nighthawk
Gibson Nighthawk

使用機材の変遷

ホークス結成前はギブソンのミシガンというスパニッシュスタイルのギターを使用していたそうですが、フリートウッド・マックの創設者ピーター・グリーンに譲ったと下記インタビューで語っていますが、DAWN OF HAWKWINDのブックレットでは、ナショナルのレゾネイター・ギターをグリーンさんに売ったと書かれています。お歳なので記憶違いかな。
エレキはハーモニーのStratotone、それに数々のミュージシャンが愛用していたアンプVOX AC-30という組み合わせだったようです。エフェクターはSolaSoundのファズやワウを使っていたようです。

Dave Brock w/Harmony Stratotone
Harmony Stratotone
Dave Brock w/Milner acoustic guitar
60年代バスカー時代の写真。Milnerのアコギとのこと。
Dave Brock w/National resonator guitar
こちらNationalのResonator Guitar
Dave Brock & Megan AitkenDave Brock & Megan Aitken
Tony Zemaitis 12string
Busker時代、ボーカリストのメーガン・アイケンと。

ホークスの初期〜黄金期にはレスポールのコピーモデル、Dick Knightカスタムを使用していました。ヘッドにKnightというロゴが入っています。ディック・ナイトは英国のギターリペア職人でしたが、自らの名を冠したギターも製造販売、アラン・ホールズワースの注文でフェンダーのカスタムもしていました。現在は、ナイトのパートナーだったゴードン・ウェルズとその息子さんが引き継ぎナイト・ギターを経営しています。公式サイトknight GUITARS

Dave Brock w/Dick Knight custom guitar Dave Brock w/Dick Knight custom guitar Dave Brock w/Dick Knight custom guitar
Dick Knight Custom
「ドレミ」や「宇宙の祭典」などホークウインドの黄金期に使用された。ブリッジの下にドレミ・ジャケのステッカー。ヘッドにはKightのロゴ。

アンプはVOX、H/Hやマーシャルなど。エフェクターはColoursoundのワウやファズを使用していたとのこと。アコギは68年製で英国の職人トニー・ゼマイティスの12弦ギターや以前から使用している戦前に作られたMilnerの6弦アコギ。アコースティック12弦ギターの美しい響きはドレミのレコーディングくらいまでのようですね。
70年代中盤にはDick Knightのピックアップを2つ→4つに改造しています。

Dave Brock w/Dick Knight custom guitarDave Brock w/Dick Knight custom guitar
Dick Knight Custom 4つのピックアップ改造版。後方にはEMS Synthi AKS、その上にはビンソンのECHORECと思われます。この組み合わせでブロックさんもステージで電子音を出すようになってきたのが、この頃と思われます。ちょうどデル・ダットマーさんが抜けた頃か。

そして「絶体絶命」の頃はフェンダーのJaguarも使用。歯切れの良い音色が特徴でリズムギターに合うとされ、キングス・オブ・スピードはこれで録音されたのかもと言われてました。ステージで演奏している画像は少ないので、メインではなかったようです。

Dave Brock w/Fender Jaguar
Fender Jaguar
ジャガーをプレイしている珍しい写真。やはりEMSのStnthi AKSとECHOREC。

カリズマ期には60年代製のギブソンのSG Junior(63〜65年頃の製造)使用。これはUSツアーの最終日にファンにプレゼントしました。

Dave Brock w/Gibson SG JuniorDave Brock w/Gibson SG Junior
Gibson SG Junior
アストウンディング・ツアーのリハ時の写真。ケースに入った写真はマーク・スパーホークさん所有のもの。これもドレミ・ステッカーが貼ってあります。

ブロンズ期になると日本製アイバニーズのArtist Active EQ(モデル2622)を使用。アクティブ・エレクトロニクス(トーン・コントロールが単にフィルターではなく、低音や高音を実際にブーストするもの)を搭載したもの。RCA期も使用していました。モーターウエイ・シティの高音が効いたバッキングなどに使用されていたかもと言われています。
なおギターシンセはローランドのGR-50を使用していたとのこと。
この頃のステージでのアンプですが、当時のHAWKFAN(ファンジン)に機材リストが紹介されていました。H/H 100Wアンプ×2、H/Hエコー・ユニット×2、エコープレックス×1、古いHiwattスピーカー・キャビネット(1973年製)×2、H/Hキャビネット×1。これらにギターとシンセも繋いで鳴らしていたそうです。エコーはボーカルにも使用していたようです。

Dave Brock IbanezDave Brock w/IbanezDave Brock w/Ibanez
Ibanez Artist Active EQ
アイバニーズにはローランドのGK-1ピックアップを装着していました。そこからGR-50に繋いでいたようです。ボディの右側にHAWKWINDステッカー。ブロックさんから一時メンバーだったクニブトンさんに渡っているそうです。

長年愛用していた日本製ウエストン

82年よりパデューク I、85年よりスペクトラム LXを使用。メイン使用になったのはスペクトラム LXで、元はブラックボディのもので、のちに元ローディーだったアラン・アーサーズによる宇宙の祭典をイメージしたカスタムペイントが施されています。

Weston Spectrum LXDave Brock w/Custom painted Weston Spectrum LXDave Brock w/Custom painted Weston Spectrum LX
Westone Spectrum LX
ケースに入ったものはペイント前。この宇宙の祭典ペイントのウエストンはよく使ってましたね。

パデューク Iはブロックの友人ガイ・トーマスが絶体絶命のアルバムジャケットを模したカスタムペイント。

Weston Spectrum LXDave Brock w/Custom painted Weston Spectrum LX
Westone Paduak-1
82年のドニントン、ペイント前のPaduak-1をプレイ。その後Warriorペイントが施されました。

マツモク工業は今は無くなってしまったメーカーですが、当時は海外でもかなり売れていたメーカー。トレヴァー・ラビンも愛用していました。
ホークウィンドでは、ブロックさん以外にもハーヴィ・ベインブリッジはThunder II Bass、ヒュー・ロイド・ラントンはConcord IIなどを使用していたようで、英国でのウエストンの広告にも出ていました。

WESTONE Hawkwind Ad

なおこの頃のエフェクターは、BOSSのBE-5Mというマルチエフェクターを使用していたそうです。

最近は主にギブソン

現在はギブソンの1997年製ナイトホークをメインに使用。モデル名がお気に入りなんでしょうか。それに2007年レスポール・クラシック(トム・モーガンのフィニッシュがほどされたもの)。そして、アンプは1978年製のローランドJC-120にハイワットの4×12インチのキャビネット2台(バーニー・バブルズのペイントしたもの)。
エフェクターはLINE 6のPod Version2。アコギは主にエピフォンのPR-7E(エレアコ)をステージで使用しています。

Dve Brock Gibson NighthawkDve Brock Gibson Nighthawk
Gibson Nighthawk
Dve Brock Gibson NighthawkDve Brock Gibson Les Paul Classic Antique ArtistDve Brock Gibson Les Paul Classic Antique Artist
Gibson Les Paul Classic Antique Artist Series(Tom Morgan)
Dve Brock Epiphone
Epiphone PR-7E
Dave Brock Roland JC-120Dave Brock Roland JC-120
Roland JC-120
John Coulthartのデザインを施しています。
Dave Brock LINE POD6 V2
PROG誌に掲載されたブロックさんの自宅農場スタジオの写真にLINE6のPODが映ってました。KORG Polysixも置いてます。右でベース弾いてるのは、N.ホーンさん。奥のキーボードラックの奥にR.チャドウィックさんのお顔が見えます。

またコレクションの中から気分で選んでいるのか、会場で用意された物を使っているのか、稀に違うギター使うことがあります。2015年の日本公演では、レスポールのスタンダードモデルを使用していました。これを使っているのは他では見たことがありません。

Dave Brock w/Gibson Standard Japan tour 2015Dave Brock w/Gibson Standard Japan tour 2015
Les Paul Standard
2015年の来日公演。この時アンプはJC-120でしたが、日本サイドで用意したものと思います。
Dave Brock Les Paull CustomDave Brock Les Paull Custom
レスポール・カスタム。2010年のHMVストアでの店頭ライブの時のもの。
Dave Brock GrecoDave Brock Greco
こちらはなんとグレコ。2016年のランブリンマン・フェアー。モデルはLG-120、マドンナヴァイオレットという色できれいですが、これも他で弾いてるのは見たことがありません。

EMSシンセ特番に出演時の映像

6月にVCS3などで有名なEMSの創業者ピーター・ジノヴィエフさんが亡くなりました。以前、オーストラリアのABCが制作したEMSシンセサイザーをテーマにした番組内に、ブロックさんが出演、農場スタジオで取材され、スタジオの様子が少し映っています。農場の羊の群れが一瞬映りますが、広そうですね。故ジェイソン・ステュワートがいるので撮影は2008年頃かと思います。ウエストンも弾いてますが、ブロックさんがSynthi AKSを紹介するシーンは必見です。

What the Future Sounded Like(豪ABC 2009年制作)

使用機材について-2018年musicraderのインタビュー記事から

それでは2018年のインタビューで、機材に関連しているコメントを紹介します。

DB:12弦のアコースティックにピックアップを付けたこと、それがエレキギターへの最初の一歩でした。その後、ハーモニーのStratotoneを手に入れ、古いDynacordのエコーユニットと小さなVoxのアンプを買ったんだ。エコーユニットとStratotoneを家でいじってました。私は60年代にかなりの年数このギターを弾いていた。その後、セルマーのサンダーバード・アンプとシルバートーンのS-1384を手に入れましたが、これはバインディングがすべてアルミでできていて、とてもおもしろいギターでした。実際、私はいろいろな種類の変なギターを持っています。

これまでにどのくらいコレクションしましたか?

DB:ギターは30本くらい持ってるよ。ケースに入れてしまうと触らなくなってしまうので、あえて吊るして弾くようにしています。中古のギターの売買を頻繁にしたこともあります。いつもeBayをチェックしてるよ。
ファンタスティックなギターもいくつか持っていましたが、多くのギターを売りました。ギブソン製のミシガンをピート・グリーンに売ったこともあります。USツアーに行ったときは、中古屋に安いギターやレア物がないか見に行ってた。ブッカ・ホワイト(USのブルーズ・ギタリスト)がジッターバグ・スウィングを弾いたギターも買ったんだ。

ビンテージギターはステージで使いますか?

DB:今、主に使っているレスポールは、2007年に作られたトム・モーガン塗装のギブソン・レスポール・クラシックです。今はそれを使っていますが、前より軽くなってるね。ギブソンのナイトホークも持っている、アンバーカラーのもの。
以前よく弾いていたのはウエストン。どこに行くにもウエストンを持っていった。友人が塗装してくれて、それを何年も使っていました。

今使っているアンプは?

DB:以前はHiwattのアンプを使っていました。何年も使っている古いローランドJC-120もあるし、いつもスペアとして持っていく古いHHもあります。ローランドは本当に長い間使っていますが、一度も故障したことがありません。音がすごく大きいんだ。常にこの2台使っていて、とてもラウドだよ。私たちはかなり大きな音を出すバンドだけど、この2台で十分なんだ!

ディストーションに何を使っていますか?

DB:Line 6のPOD(2.0)を使ってます。ライブではいつもこれを使ってる。いろいろいじっているうちに気に入ったものができて、それを保存してある。使い方は簡単だよ。好きな時に古いエコーを鳴らすことができるし、タイミングが悪ければタップアウトすることもできる。今はほとんどこれを使っています。やりたいことをやる、それだけです。基本中の基本。
フットペダルはあまり使ってないよ。たくさんのフットペダルを使うのはどうかと思ってる。昔、みんな大きなペダルを床に置いていた、よく躓いてたよね!

昔のホークウインドのアルバムでは、どのようなテープエコーユニットが使われているのでしょうか?

DB:ダイナコード・エコー・ユニットが最初で、あとはテープを巻いたワトキンス・コピーキャットでした。昔のローランドのスペース・エコーもまだ持ってるよ。ただ、テープがダメになると自分で新しいものを作らなければならないので、ちょっと面倒なんだけどね。

ホークウインドの楽曲制作の過程を説明してください。

DB:我々は、実際にかなり組織化されています。よく脱線することもありますが、何事も本質は良いメロディーラインを持つことだ。良いメロディー・ラインがあれば、いつでもそこに戻ってくることがでるし、ジャムの中でメロディー・ラインを演奏することもできるからね。私たちは、いつも自分たちがやっていることについて非常に組織的だった。ロックフィールド(スタジオ)時代にやっていたように、一度離れたところに行って、また元の状態に戻ってくるということを繰り返していたんだ。


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2021/08/31 update


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