ホークウィンド・デイズ・コラム
2025年5月16日
PROGROCK COMES ESSENTIALS PRE0021 (2025)
以前の状況からは考えられない驚異的ハイペースでアルバムをリリースしているソルスティス。現在はバックコーラス隊2名を含めた8名の大所帯ですが、リーダーのアンディ・グラスによると「まるで新しいバンドの様に感じるが既に5年この体制でやってきている」と語っています。PROG誌の2024年のリーダーズ・ポールでの快挙が記憶に新しいですが、バンド部門でついに1位、ギタリスト部門でグラスが1位、ボーカル部門ではホーランドが2位、キーボード部門ではマクダニエルが3位、ドラム部門でヘムスレイが8位と英プログレ界のトップグループに上り詰めました。前作のライブアルバムで現体制のライブでのコンビネーションの良さ、柔軟性に富んだ演奏力を実感しました。早くもリリースされた今作では、熱心なファンクラブGARDIANのメンバーとの写真が内ジャケに掲載され、アルバムタイトルはゲール語で「大家族」を意味していること、などから今のバンドを形容するにふさわしいタイトルとなっています。エンヤの兄弟たちのバンドCLANNAD(クラナド)も同じ意味ですね。グラスはGUARDIANと一緒に獲得した成果だと強調しています。PROG誌のインタビューを引用しながら各曲を聴いてみました。
オープニングはライブアルバムでも披露された「Firefly」OK, everybody here we go!というグラスの掛け声で開始。一発録りの雰囲気ですがどうでしょうか。明るくポジティブなテーマ、シンセの速いパッセージとフィドルの伸びやかな演奏、リズムギターを加えたリズム隊のタイトな演奏、最近のソルスティスの良さが詰まった曲。終盤のギターソロ、PROG誌でNo1ギタリストに選ばれた理由が分かります。ソルスティスはファーストアルバムから独立したバイオリニストを包してきました。現バイオリニストのジェニー・ニューマンはグラスの奥さん。ちなみにベーシストのロビン・フィリップスはファースト・アルバムでピアノを弾いたマーガレットの息子さん。バンドも家族的な雰囲気を持っています。
2曲目「Life」コーラスが特徴的なポップソング、グラスはスティーリー・ダン風と語っていますが、凝った構成がプログレ。
「Plunk」ファンキーなリズムとゲスト3名のブラスセクションが加わった演奏。プログレにファンク要素をミックスしたのでこのタイトルにしたとのこと。
「Frippa」グラスは学校でギターを教えてるそうですが、その合間にできた曲とのこと。タイトルにある通り、ロバート・フリップ風のリフ、ギターソロもそれを意識したもの。そこにボーカルコーラス、カッコイイですね。
ハイライトは14分近い大曲「Twin Peaks」フィドルの美しいメロディにのせたボーカルから開始。ガザ侵攻が起きた時、そこにいる子供たちの事を思った悲しみを表現したとのこと。タイトルは曲の中で2つのピークがあること指していて、5分台のギターソロ、そしてエンディング。グラスはデヴィッド・リンチの同題ドラマ(懐かしいですね)も好きであると語っています。中間リズムレスになりシンセ・シークエンスをバックにひたすらコーラスが繰り返されます。そのまま終盤の盛り上がりを迎えます。
「Earthsong 2025」デビューアルバムのセルフカバー、ホーランドが自分にはキーが高すぎるとのことから、バックボーカルのエボニー・バックルを推したそうです。この人の声もキレイです。
今年もいくつかのギグやフェス出演が予定されていますし、この調子だと次作も来年にはリリースされそうですね。
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2025/05/16 update