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HAWKWIND | THE FUTURE NEVER WAITS

CHERRY RED - CDBRED884 (2023)

スタジオ録音の作品としては、2021年のSOMNIA以来2年ぶり。昨年はライブアルバムWE ARE LOOKING IN ON YOUをリリースしています。SOMNIAは3人で制作しましたが、その後ベースのダグ・マッキノン、鍵盤のティム・ルイスがレギュラーメンバーとして加わり、その新体制で初めての作品となります。スペーシーさや元気のあるメロディアスな曲も復活し、ホークスらしい溌剌さが戻ってきました。

Hawkwind / THE FUTURE NEVER WAITS
デジパック。ブックレット。
Hawkwind / THE FUTURE NEVER WAITS
Hawkwind / THE FUTURE NEVER WAITS
Hawkwind / THE FUTURE NEVER WAITS

  1. The Future Never Waits
  2. The End
  3. Aldous Huxley
  4. They're So Easily Distracted
  5. Rama (The Prophecy)
  6. USB1
  7. Outside Of Time
  8. I'm Learning To Live Today
  9. The Beginning
  10. Trapped In This Modern Age

前作『ソムニア』が睡眠をテーマにした内省的なテーマだったこともあり、「らしさ」という点で今一つでしたが、今作はスペースロックらしい面が全開となった仕上がりかと思います。新メンバー2名がカンフル剤的に作用。マッキノンのベースはホークウインドの血統であるレミーをはじめとした歴代ベースメン由来のドライブ感のあるフレーズ、リフを繰り出し、鍵盤のルイスは自身のプロジェクトThighpaulsandra(サイポールサンドラ)やジュリアン・コープとの活動など経験豊富なシンセプレイをしておりホークスのスペースロックとの相性がとても良いです。この新メンバーの演奏は前年リリースされたライブアルバム『ウイ・アー・ルッキング・イン・オン・ユー』で実証済みでしたので、今スタジオアルバムへの期待は高まっていましたが、その期待に応えてくれたと思います。
オープナーのタイトルナンバーは10分にわたるインストナンバー。電子音によるスローテンポのリズムから開始、サンプリングメロトロンが流れ出し、得意のジャーマン 系に通じる幻覚的エレクトリックチューン。ワンコードで突き進み、シンセのアドリブや様々な電子音、パーカッションが去来する重厚なトラック。ルイスの手腕が発揮され、『ソムニア』に対してスペイシーなホークスが戻ってきたことを予感させます。メンバー全員の共作。
The End ブロックのコードカッティングのイントロ、溌剌系ポップチューン。やはりいつものホークスが戻ってきました。Aメロにサビというシンプルな構成。曲調に反して、コンピューターに支配された現代社会の閉塞感を歌っています。「部屋に閉じこもって調子の外れた歌を歌うんだ」という歌詞が印象的。ブロック作。
イギリスの作家オルダス・ハクスリーをテーマにしたトラックでは、ハクスリーの死の間際のLSD投与などについて書いたとブロックはインタビューで答えています。効果音とボイスで構成された前半、後半はややジャジーなアコピとベース演奏。ここでのボイスはハクスリーが亡くなる際の妻とのやりとりをイメージしていると思われます。マーティン作。
They're So Easily Distracted ハイテンポのドラムスとベース。そこにアコピが被ってきますが、ミュートサックスの演奏が入り前曲後半のニュアンスを引きずったインストナンバー。故ジェイソン・ステュワート在籍時によく演奏されたニュアンス。ブロックによると1930年代のウクライナの飢饉をテーマにしたとのこと。現在の戦争もその頃からのつながりだということを伝えています。リラックスした演奏が徐々に熱を帯びて、ブロックのエレキの演奏も堂々としています。様々な電子音が流れるところはホークスならでは。終盤、チャドウィックを中心にしたコーラスが登場。マーティン作。なおブロックの農場には戦禍を逃れたウクライナの女性が5人暮らしているそうです。
Rama 溌剌チューン二発目。こちらはメロディがブロック特有の諸行無常感を漂わせています。インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公なぞらえて、予言者による救世主が現れるだろうのか、それは自分だと伝える力強いメッセージ。中盤のオルガンのメロディも明るく展開。ブロックのリードボーカルも相変わらず。終盤のギターソロいいですね、最高です。8分30秒の長尺。ベストナンバーでしょう。ブロック作。
USB1 ライブアルバム『ウイ・アー・ルッキング・イン・オン・ユー』に初収録されたインスト。ライブでは「アンクル・サムズ・オン・マーズ」の中間パートでしたが、ここでは単独曲として演奏されています。ブロック、マーティン、チャドウィック作。
Outside Of Time 前曲に繋がって続ます。前作の印象を受けながら、後半ブルージーなニュアンスに変化。重厚なシンセパッドに高音のシンセソロ。コーラスはマーティン中心にうたわれます。ブロック作。
I'm Learning To Live Today フェードインから始まるヘヴィーチューン。重いベースのリフが中心ですが、サビのボーカルが哀愁感を出しています。8分のトラックで、ベースリフに荒れ狂うホワイトノイズの嵐、ストイックな曲調で、これもホークスらしい曲調。ブロック、マッキノン、チャドウィック作。曲調に反して感傷的な歌詞ですが、ブロックがインタビューでポルトガルのマディラ島で見た素晴らしい夕陽を思い起こして書いた曲と言ってたのはこの曲かと思われます。
The Beginning 2曲名のThe Endに通じる、コンピューターに支配された人類の未来を扱ったもの。前半は強烈な電子音パート、中盤からマーティンのアコギとリードボーカルによるサイケフォークへ。体を捨てて精神だけ電脳の世界に没入するような歌詞。最後だけブロックのボーカルに変わります。マーティン作。
Trapped In This Modern Age 前曲のアンサーソングか、極めて明るいフォークロック。現代の閉塞感を歌いながら、互いに前向きに生きていくことを伝える印象です。
なおこのアルバムのレコーディングに続いてアルバム1枚分のトラックもすでに収録済みということで、年内にもう1枚リリースできるとのことです。アルバムリリース時のインタビューはこちら。


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